「あなたは、自分自身を正しく評価する事ができますか?」
この様な思い込みをした事はないでしょうか。
人の上に立つポジションにいると、
自分の能力は平均以上だと自信過剰になる事が多くあります。
この「平均以上」だと言う考え方を「レイク・ウォビゴン効果」といいます。
組織を牽引するリーダーは
レイク・ウォビゴン効果を理解し、
自分の能力を正しく評価する能力が必要不可欠です。
正しい評価には、客観的視点が重要です。
客観的な視点がないと、自分の能力や位置を見誤ります。
組織を牽引するリーダーが自分の能力や位置を見誤ると、
組織のビジョンや方向性が大きく揺らいでしまいます。
人間は本来、
「思い込み」や「傾向」に支配されやすい存在である事を
リーダーは認識し、客観的な視点を持って業務を遂行しなければなりません。
そこで、今回は思い込みや傾向に支配されない方法を解説していきます。
ぜひご覧ください。
レイク・ウォビゴン効果とは
自分には他の人よりも優れた能力があると自信過剰になる事を、
レイク・ウォビゴン効果といいます。
レイク・ウォビゴン効果(The Lake Wobegon effect)
心理学で「自分は他の人と比べると、平均以上である」と自己評価を過大に捉える認知バイアスのこと。また転じて、意識調査などで対象者のほぼ全員が「自分が平均以上」という意識を持つというような、事実と矛盾する状況、あるいは空想上の桃源郷を意味する。
この効果の由来は、作家のギャリソン・ケイラー氏が、
ラジオ番組の作品に描いた架空の町からきていると言われています。
その町の名前が「レイク・ウォビゴン」なのです。
レイク・ウォビゴンの全ての住人は平均以上の美男美女で、みんな平均以上に優れている、という架空の街です。
「全員が平均以上」と言う状態は、あり得ません。
平均以上に優れた人がいるのであれば、平均以下の人が必ず存在するはずです。
レイク・ウォビゴン効果は、別名「平均以上効果」「優越性の錯覚」とも言われます。
この様な事を自分に言い聞かせ、
思い込みや傾向を周りに主張することを、心理学用語で「レイク・ウォビゴン効果」といいます。
レイク・ウォビゴン効果の例
行動経済学では、この様な例があります。
2017年にノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の権威、
リチャード・セイラー氏が自身の生徒を対象に行った調査によると
「自分の能力は平均以下」と思っている生徒は、5%にも及びませんでした。
ほとんどの生徒は「自分の能力を平均以上」
ひいては、上位20%に入っていると考えていたそうです。
身近なところでは、こんな例があります。
Apple製のパソコンMac bookのユーザーを対象に、
他のパソコンではなくMacを利用している理由について聞くと
「使いやすさやデザイン、記憶容量などを冷静に判断して決めたんだ」と答え
「決して憧れや流行に乗ったのではない」と主張するそうです。
また、洋服を選ぶ時にどのブランドを選んで着用するかの意識調査をしたところ
「そのブランドが個人的にオシャレだと思うか。自分に似合っているかどうか」よりも、
「そのブランドが自分をどの様に見せてくれるか。
そのブランドの洋服を着ている自分が、周りからどう思われるか」
と言うことを意識しており、
着用する事で、自分を理想的な人間に近づけようとしているのだそうです。
これらにも「自分だけは平均以上の特別な存在なんだ」という
レイク・ウォビゴン効果が働いているのです。
リーダーに必要な能力
リーダーは「自分の能力を正しく評価する事」が必要です。
特に自分自身を内省する時に、
客観的視点が欠けていれば、自分の能力を実際よりも高く評価してしまいます。
高い自己評価によって自信をつけ、積極性に行動できるようになるのであれば、
レイク・ウォビゴン効果はとても有効な考え方と言えるでしょう。
しかし、自分の能力に過信して努力を怠ったり、
リスクを察知できなくなってしまうと、ビジネスで大きな損失を被る事にもなりかねません。
さらに、現在の自分の能力や位置を正しく評価できなければ、
今後の進むべき方向性も間違ってしまう可能性があります。
組織を牽引してビジョンを実現させるには、
今の自分の能力や位置を正確に把握しておくことが、必要不可欠です。
現在の位置を把握することができたら、
メンバーと、どのような道を通って山頂を目指すか、方向性を示します。
さらには、いつまでに、どこまで山を登るのか行動計画を設定します。
行動計画を元に、メンバーとコミュニケーションを取りながら実行に移していきます。
山頂を目指しながら、
どこまで進んだのか?
方向性は間違えていないか?
不測の事態が起きた時に、迅速で最適な決断を下すことができるか?
など、客観的に判断する能力が必要なのです。
自己評価とのギャップを埋める方法
ここまで、自分の能力を”正しく評価する”重要性を説いてきました。
しかし実は、正しい評価、というものは存在しません。
人はそれぞれ異なる価値観でものさしを定め、”正しさ”を測っているからです。
人によって”正しさ”が異なるのです。
では、より適切な評価をする為にはどうしたらいいのでしょうか。
答えは、評価に「客観的視点」を追加するのです。
レイク・ウォビゴン効果は
「自分には他の人よりも優れた能力があると自信過剰になる事」と解説しました。
ここには主観のみが存在し、客観的視点はありません。
客観的視点を追加するには
「第三者から客観的な評価を聴く事」が、理想的な方法です。
そこで、自己評価とのギャップを埋める方法を2つ紹介します。
①自分の思い込みに気づく
人間は本来「思い込み」や「傾向」に支配されやすい存在です。
自分自身を成長させたり、リスクを察知する上で、
思い込みは不要な要素です。
ましてや、思い込みが激しい人は、
『私は思い込みの激しい人物だ』と本人が気づいていません。
他人から指摘されて、初めて気づく事がほとんどです。
もしあなたがそんな指摘を受けたら、
思い込みが激しい事を素直に受け止め、改める様に心がけましょう。
指摘してくれた人への感謝も忘れてはいけません。
「思い込み」をする前に、一旦立ち止まって考える習慣をつけましょう。
また、この様な習慣を意識すると自分の思い込みに気づく事ができます。
これらを、考える習慣を実践してみてください。
②360度評価・多面評価
組織の中で、自分と他人の評価の隔たりを埋める方法が
「360度評価」や「多面評価」です。
これらの評価は、
上司や同僚、さらには部下など様々な立場からの視点を用いて評価を行うところが特徴です。
立場の違った複数の視点からリーダーを評価する事で、
自分がこれまでに持っていなかった客観的視点を把握する事ができるかもしれません。
また、自分の客観的評価を得るだけでなく、
同僚や部下と良好な関係を築きながら仕事をするには
どの様にしたら良いのか意識するきっかけにもなります。
複数の人から評価を受けることで、
あらゆる日々の行動が様々な価値観によって解釈され、誤解される事もあるのだから、
そのギャップを認識し埋める為の行動しよう。と気づかせてくれる方法なのです。
最後に
「あなたは、自分自身を正しく評価する事ができますか?」
「あなたは自分自身を評価をする時に、過大にも過小にもならずに、
ありのままを評価できていますでしょうか?」
人はどこかで、自分は優れた能力を持っていると評価してしまいます。
その考えが、弱さや問題点を正しく認識できずにいるのです。
「自分のおかげで今回のプロジェクトは成功した」
「自分の能力は周りに比べると平均以上だ」
と考えていたら、問題点の認識なんてできないですよね。
これでは、自分自身を大きく成長させたり、
ビジネス上のリスクを察知する事は難しいでしょう。
人間は本来、
「思い込み」や「傾向」に支配されやすい存在である事をリーダーは認識し、
客観的な視点を持って会社やチーム、
自分自身の成功の為に行動していく事が重要なのです。
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