あなたは、リーダーに何を求めていますか?
リーダーに求められる資質は、昔と現在で大きく変わりました。
古典理論では「リーダーシップとは、生まれ持った性質」という考え方が広く浸透し、上司が部下を命令によって支配する「強制型リーダーシップ」が主流でした。
現代では、リーダーの行動や環境に焦点が当てられ「状況に応じたリーダーシップのとり方」を考えるコンセプト理論が主流です。
そのひとつが「サーバント・リーダーシップ」です。
サーバント・リーダーシップとは、上司が部下に対して、奉仕・サポートをすることが求められています。部下に奉仕の気持ちを持って接し、どうすれば組織の力が最大限に発揮されるのかを考え、組織の環境づくりに邁進するリーダーシップです。
この様に、ビジネスの環境や組織の状況に応じて、どのようなリーダーシップを発揮すべきかを考えるのが、コンセプト理論なのです。
コンセプト理論において、サーバント・リーダーシップと同様に注目を集めるのが「EQ型リーダーシップ」です。
今回は、現代のリーダーに必要とされるEQとはなにか、リーダーシップとEQとの関係について、解説していきます。
ぜひ、ご覧ください。
EQとは
「EQ」とは「心の知能指数(Emotional Intelligence Quotient)」のことです。
心の知能指数とは、
- 自身の感情や他人の感情に気づけること
- 感情を適切に分けられること
- 自身の感情を認識し行動できること
といった能力の事を指しています。
「EQ」に注目したリーダーシップは、メンバーの感情への働きかけを重視しています。
EQ型リーダーシップとは
EQ型リーダーシップとは、組織内の人間関係や部下のモチベーションなど感情を正しく導く能力です。
実務や体制の改革より、メンバーの感情に働きかけることをベースにしています。
20世紀末期に心理学者のダニエル・ゴールマン氏によって提唱されました。
EQ型リーダーシップに不可欠な4つの領域
EQは、ビジネスで成功する要因の研究で見つけられた概念です。
これまでは、IQ=知能指数(Intelligence Quotient)が高い人ほど、ビジネスで成功すると考えられていました。
しかし、IQが高くてもビジネスで失敗している人がいるのが現実です。
そこで、ビジネスで成功している人の共通点から導き出された答えが、「ビジネスで成功している人は対人関係能力に優れている」という概念なのです。
成功する人の共通点がEQ
米国イェール大学のピーター・サロベイ教授らが対人関係能力を研究したところ、ビジネスで成功している人たちには、次の共通点があることを見つけました。
- 自分の感情を把握している
- 自分の感情を管理、調整できる
- 他者の感情を感知できる
- 前向きな感情を生み出している
- 対人コミュニケーションをうまく保つことができている
そして、ダニエル・ゴールマン氏によって、それぞれの関係性が明らかにされました。
- 自己認識:「自分の感情を読み取り正しく自分を評価できる能力」
- 自己管理:「自分の感情をコントロールし状況に柔軟に誠実に対応していく能力」
- 社会認識:「他者の気持ちを汲む能力」
- 人間関係の管理:「求心力と紛争処理と協調性の能力」
いくら組織の頂点にいるリーダーと言えど、気持ちが落ちている時と高まっている時では、判断に違いが生じます。その為、まずは自分の感情を正しく認識できている必要があります。
さらに、他者の気持ちが理解できる様になると、最終的に人間関係も適切に管理することができるのです。
状況に応じて使い分ける6つのリーダーシップ
EQを身に付ける事ができれば、感情をコントロールできます。感情のコントロールが、リーダーにとって重要な能力になることは、ご理解いただけたかと思います。
さらに、現代のリーダーシップで重要なのは、状況に応じてリーダーシップを使い分けることです。
リーダーシップには、6種類あることご存知でしょうか。
▶︎リーダーシップの6種類を実際のリーダー例も併せて徹底解説
EQ型リーダーシップでも、状況に応じて6つのリーダーシップを発揮することが提唱されています。
どの様な状況で、どう行動すると効果的か解説していきます。
①ビジョン型リーダーシップ
組織で共有された夢に向かってメンバーを動かす
- 組織が変革する為に、新たなビジョンを掲げる時
- 方向が見失い、明確な方向性が必要な時
②コーチ型リーダーシップ
メンバー一人ひとりの希望を組織のビジョンに結びつける
- メンバーへの長期的なコーチングする時
- パフォーマンス向上を支援する時
③関係重視型リーダーシップ
メンバー同士を互いに結びつけて調和を形成する
- 組織の結束を強める時
- 人間関係を修復する時
- ストレスのかかった状況でモチベーションを上げる時
④民主型リーダーシップ
メンバーからの提案を受け入れ、承認を得る
- 賛同やコンセンサスを形成する時
- メンバーからの提案が欲しい時
⑤ペースセッター型リーダーシップ
難易度が高くやりがいのある目標を設定する
- モチベーションも能力も高い組織から、高いレベルの結果を得たい時
⑥強制型リーダーシップ
迅速に明確な方向性を示す
- 緊急かつ危機的状況の時
- 再建を始動した時
6種類のリーダーシップを理解する事で、状況を客観的かつ冷静に判断し、組織を機能させ、成功に導く事ができます。
まとめ
現代のリーダーに必要とされる能力「EQ」とリーダーシップの関係について解説してきました。
EQを身につければ、感情をコントロールできるようになり、他者を動かすスキルにつながります。
EQは訓練することによって、向上することが実証されています。つまり、EQは先天的な能力ではなく、学習によって後天的に習得しうる能力なのです。
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