すごい時代になってきました。
少し前までは終身雇用の時代。『一つの企業に、新卒から定年まで勤める』というのが当たり前でしたが、今は違いますよね。
・フリーランス
・脱サラ
・副業
・リモートワーク
・学生起業家
・高校生社長
・Youtuber
・プロニート
と、一昔前だと想像もできなかった働き方が、普通に起きている時代になりました。
そんな多種多様な現代では、組織の目標設定や管理方法に変化が起きています。
新しい目標設定・管理ツールとして注目を集めるのが、『OKR(オーケーアール)』です。
OKRとは、
シリコンバレー方式とも呼ばれ、Google・Facebookが導入をして注目を集める目標設定・管理ツールです。日本でもメルカリをはじめとした多くの企業で採用されています。(1970年代に米インテル社のアンディ・グローブによって提唱される)
その意味や特徴、実戦方法をしっかりと理解して、皆さんの会社組織に合う手法なのかどうか判断できるよう、解説していきます。
最後までご覧ください。
OKRとは
OKRとは、組織が掲げる目標を達成するため、達成するべき目標(Objestives)と主要な成果(Key Results)を紐付け、組織と個人の方向性が統一された目標管理方法です。目標と主要な結果という意味のObjectives and Key Resultsの頭文字をとって名付けられています。
OKRには、従来の目標管理方法とは異なる3つの特徴があります。
-
個人の目標が、組織全体の目標と紐づいている
-
レビュー頻度が多く、評価のスパンが短い
-
求める達成度は100%ではなく、個人の評価や報酬と切り離して考える
つまり、従来の目標管理より
・個を意識して
・(転職など一つの会社に長くいない傾向から)評価スパンも早く
・自由度が高い目標値がある
のが、OKRです。
OKRを導入することで、企業とメンバーが同じ方向を向き、取り組むべき事項の優先順位が明確になります。また、評価のスパンが短いため「企業と社員の間に信頼関係が構築できる」とされています。OKRの導入は結果的に、組織の強化につながるのです。
OKRの仕組み
OKRは、まず組織全体として達成すべき目標が掲げられ、その下に事業部単位・チーム単位、個人単位の目標と成果が紐付いています。
1つのO(目標)に、複数のKR(主要な成果)が付随する形で成り立っています。
①O:Objectives
OKRのOは組織が達成するObjectives(目標)を意味します。
「何を実現したいか?」
「どこに向かっていくのか?」
「どういう成果を出したいか?」
- 定性的な目標
- 組織全体を鼓舞し、メンバー全員がワクワクする高い目標
- シンプルで覚えやすい目標
- 個人が直接的にコントロールできない目標
- 1ヶ月~4半期(3ヶ月)で達成できる目標
- 定量的な指標(数字など)を入れない目標
②KR:Key Results
OKRのKRはKey Results(主要な成果)であり、Objectivesへの進捗を測るための具体的な指標を意味します。
「目標を実現するために必要な成果は?」
「自分が挑戦したいことは?」
- 定量的な指標で、数値で測れる
- 1つのObjectiveに対し、2~5個程度のKey Resultsで設定
- 本気を出したら達成できそうなストレッチゴール
- コントロール可能な目標
- 達成率60~70%で成功
- 自信度10分の5の難易度
- 人事評価・報酬制度には用いない
ムーンショットとルーフショットという考え方
OKRの「KR(主要な成果)」には、ムーンショットとルーフショットという2種類の考え方があります。
①ムーンショット(月に届くほどのショット)
挑戦的・野心的な目標です。
「スイートスポット」と呼ばれる60~70%の達成で成功と見なされます。
②ルーフショット(屋根に届くほどのショット)
難しいけれど、実現可能なレベルの目標です。
100%達成のみが成功で、100%未満は全て失敗と見なされます。
OKRを導入したての時期や、目標設定に慣れてないときなどは、ルーフショットのOKRを設定する事をお勧めします。
OKRのメリット
実際に導入するとどの様なメリットがあるのでしょうか。
主に4つのメリットがあります。
- 企業として大きな目標の達成が期待できる
- 高頻度による展開
- メンバーのエンゲージメント向上
- 生産性が向上する
①企業として大きな目標の達成が期待できる
人事評価・報酬制度とは切り離され、達成率60~70%を成功の判断基準にしている為、
失敗を恐れることなく高い目標を設定し、組織とともに成長していく実感が得られます。
進捗の確認によって、メンバーの自発性・主体性の促進効果も得られ、目標の達成率の向上が期待できます。
②高頻度による展開
OKRは目標サイクルが1ヶ月~4半期と期間が短いため、フレキシブルな調整・変更が可能です。革新性を高め、リスクと無駄を削減できます。
③メンバーのエンゲージメントが向上する
OKRの進捗を高頻度で確認することによって、常に組織の目標をメンバーに示すことができます。
短いサイクルで振り返りが実施されるので、メンバーは企業に対する貢献度や業務の納得度を常に確認できます。 組織への貢献が可視化されると、社員メンバーと企業の、相互的な信頼関係を強化され、企業に対する愛着が高められます。
④生産性が向上する
日々の業務において、目標に対するやるべきことの優先順位が明確になっているため、目標に集中する事ができます。
結果、一つ一つの目標により高いレベルで取り組むことができます。
また、社員1人1人が目標で繋がっていますので、役職に関係ない迅速なコミュニケーションを促進します。その結果、組織の生産性の向上につながります。
OKRの実戦方法
それでは、実際に導入するまでの手順をお伝えしていきます。
10個の手順に沿って、OKRを導入していきましょう。
①企業のOKR設定
まずは、組織全体のOKRを設定します。
基本的には、1つの企業あたり1つのOKRを設定することが良いとされていますが、事業が複数に分かれている場合は、複数設定しても構いません。
全メンバーから目標を集めたり、各部門から様々なアイディアを取り入れることで、経営層からのトップダウンではなく、ボトムアップでのOKRが設定され、より理想的なOKRになります。
②チームからのフィードバックを元に企業OKRを調整する
企業OKRを各チームに展開しフィードバックを受けます。
このフィードバックをもとに、必要に応じてOKRを修正します。
③チーム(事業部)のOKR設定
企業OKRをもとに、各部門、チームのOKRを設定していきます。
これもトップダウンではなく、ボトムアップの意見を尊重した決定が理想です。
④チームOKRを共有し合い、調整する
自分のチームのOKRと他のチームのOKR、企業OKRを参照します。
整合性を確保するために、必要に応じて修正を行います。
⑤個人OKRの設定
事業部・チームOKRと連動した個人のOKRを設定します。
マネージャーと相談しながら、状況に応じてメンバーにも相談して決定していきます。
⑥個人OKRを共有し合い、調整する
チーム内で各メンバーの個人OKRを確認。整合性を確保するために、必要に応じて修正します。
⑦週に1度「チェックイン・ミーティング」をして進捗確認
週に一度チェックインを行い、チーム内で進捗を確認します。
優先事項・達成の自信度・阻害要因などを確認します。
チームで週に1度、成果報告
小さな進捗でもよいので、1週間の成果を発表し合い、チームで祝い合います。「ウィン(Win)・セッション」といわれる場合もあります。
⑧中間レビューを行う
設定したレビュー期間の中間地点(四半期の場合は1.5~2カ月経過時点)で、全体的なレビューを1、2回行います。
このとき、進捗に遅れがあれば改善点を議論し、必要に応じて目標を変更しても構いません。
⑨最終レビューを行う
レビュー期間の最後にスコアリングを行い、各OKRの結果を評価します。
要因を分析し、達成度が低すぎる/高すぎることはないかを確認し、今後同じ目標を続けるか、別の目標に切り替えるかを判断します。
ここで気を付けたいのは、このスコアリングは人の評価ではないということです。
⑩次の四半期の企業OKRを設定
⑨で行った最終レビューを参考に、次の四半期の企業OKRを設定します。
まとめ
人材育成には、目標設定・管理が重要です。
働き方が大きく変化している今、あなたの組織の人事評価制度も見直してみませんか?
OKRの導入には、意味や特徴を理解していてもうまくいかない事があります。
もちろんはじめからうまくいくことは、なかなか難しいですが、実際の導入にはちょっとしたコツがあります。これまでサポートさせていただいた企業様の事例も取り入れつつご案内させていただきます。
OKRの導入は、本当にあなたの組織に必要なのか。
もしあなたが人材育成に悩まれているなら、社員を研修に送り出すのも一つです。
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