事業を継続的に成長させる要素は、数多くあります。
特にこれらの4つは、最重要事項に含まれてくるのではないでしょうか。
・自分で考える若手人材の育成
・中途社員の早期戦力化
・本来のスキルを発揮する
これら4つを実現させている組織で、取り組まれているのが「エンパワメント」です。
政治や福祉、人権運動などで用いられることもあり、
それぞれの現場によって「力」や「権限」など解釈は異なります。
ビジネスでは、メンバーの本来の力を引き出し活用して、生産性と従業員満足感の両者を高める意味があります。
今回は「エンパワメント」について、意味や実現方法を解説していきます。
それでは、ご覧ください。
エンパワメントとは
エンパワメントとは、個人や集団が抑圧されることなく力をつけて、自分自身の生活や環境をコントロールできるようにしていくことです。
個人や集団の潜在能力を発揮させる考え方 として注目されています。
エンパワー(empower)という単語は、
・「能力や権限を与える」
・「自信を与えること」
・「力を付けてやること」
などの意味を持つ英単語です。
ビジネスにおいては、「能力開花」や「権限委託」と言う意味合いが強いです。
エンパワメントを効果的に働かせる3つのポイント
会社の施策の多くは、経営者や管理職が主体となって推進していきます。当然エンパワメントの推進にもリーダーの牽引力が必要です。
しかし、エンパワメントは、あくまでも「社員(部下)が主役」です。このことを意識しておくことが、成功への近道と言えるでしょう。
①目的を共有し、チームの自律性を最大化する
部下に権限を委譲することとセットで、その仕事が組織においてどういった位置づけなのか目的をしっかり共有しましょう。
目的が曖昧なまま権限を委譲してしまっては、部下が自ら考え判断する材料がなくエンパワメントにつながりません。
②チームの異質性を高め、組織を活性化する
個人の価値観や働き方、国籍、性別、能力など多様化していることを、チームとして受け入れるようにしましょう。
様々なことを受け入れると「組織の異質性」が高まります。チームがバラバラになるイメージがあるかもしれませんが、異質性が高まると、メンバー同士がお互いを支援し、積極的に連帯しようという行動が生まれます。
日本は伝統的にチーム制の組織編成をとってきた基礎がある為、チームの異質性が高まると組織内のエンパワメントの効果が発揮されやすくなるのです。
③チームメンバーの発言力・影響力をできるだけ平等に保ち、リーダーの発生を促す
特にエンパワメント導入の際には、委譲する本人の強みを知り、それに合わせた権限を与えることが望ましいといえます。
権限委譲をする時に、それがどんな内容でもよいというわけではありません。
社員個人の強みを把握せずに的外れな権限移譲をしても、成果にはつながりにくいでしょう。
リーダーが発揮するエンパワメント
優秀な若手の従業員から次のリーダーを育てる際、鍵となるのがエンパワメントによる権限委譲です。
リーダーには組織をまとめる力、責任感、行動力、そして結果を出せる能力とさまざまな要素が必要とされます。
しかし、それらの能力を持つリーダー候補がいたとしても、
・職場内で「いつまでも仕事を任せてくれない」という不満 ・「いきなり任せられても自信がない」という不安
を持っているかもしれません。そうした人材を育てるために上司がやるべきことは、ある程度の権限を少しずつその部下に与えることでしょう。
エンパワメントリーダーシップを実践
エンパワメントリーダーシップとは、リーダーシップの類型の1つです。
部下に戦略に基づいた意思決定やある程度の権限を与えることで、本人の管理能力や主体性の向上を目指します。
上司やリーダーの立場にある者が部下の自律性を促し、支援に回ります。
具体的な指示は出さず、部下自身が問題を発見したり、不足した能力を開発したりできるような環境を整えることが大切です。
ゴール設定や動機づけをする
人の能力は自分の持つレベルから背伸びをして初めて成長が見られます。
組織や個人の課題を現在のレベルより少し高いレベルのゴールに設定します。エンパワメントにはこのゴールに動機づけできるかどうかが大切になってきます。
ゴールに対して自分はやれば出来るという自己効力感や影響感、ゴール達成で得られる価値、自己決定感などからエネルギーを得ることで、仕事でのパフォーマンス向上につなげることができるのです。
エンパワメント導入の4つの手順
では実際に、エンパワメントを導入する際の手順について詳しく見てみましょう。ステップは4つあります。
①エンパワメント推進を宣言する
まずは企業の最高責任者もしくは拠点のトップが、
従業員全員の前で、これからエンパワメント推進を図ることを宣言します。
注意したいのは、ただのお知らせで終わることがないようにする点。
固い決意と熱意が従業員に伝わるような方法で、「宣言」します。
②目標への合意と共感を得る
宣言によってエンパワメント推進という目標が周知できても、目標に対して従業員の気持ちが一致していなければ意味がありません。
宣言後はできるだけ早いうちに、エンパワメント導入に関するディスカッションや勉強会を開くとよいでしょう。
③情報を公開し権限を委譲する
権限委譲や権限付与を行うには、
- 企業の方針や経営戦略
- 人事や経理状況
といった企業の経営に関するあらゆる情報を従業員に公開する必要があるのです。ここには、それまで企業内の一部の人しか知らなかったような情報も含まれます。
もちろん、情報公開には情報漏えいのリスクもあるでしょう。そのため、企業内でも、
- 入社から間もない従業員
- 正式な雇用関係にない人
に対しては、実情に応じた範囲の情報公開にとどめます。
④目標達成のための行動の自由を認める
権限委譲後は、その従業員に与えられた行動の自由を認めましょう。
つい口を出したくなるときがあっても、
その気持ちを抑え、従業員が成長する過程を見守るのです。
まとめ
エンパワメントはあらゆる分野で個人の成長だけでなく、組織の成長や活性化にもつながるものです。
明確なゴールや方向性を持って、途中でやめることなくしっかりと最後までやり抜くことが大切です。
まずはエンパワメントについて詳しく知ることで、自分の属する組織や立場に取り入れられるかどうか検討してみましょう。
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