「怒ったら辞めてしまうんじゃないか・・・。」
「いつも許してしまうんだよなぁ・・・。」
「部下に怒るのは無駄だよな・・・。」
そんなふうに思っていませんか?
日々を平穏に過ごす為には、怒る場面はなるべく少ない方がいいですよね。
(怒る方もかなり体力を使いますしね。。)
しかし、そうは思っていても、仕事で部下のミスや不祥事などが起きれば、
厳しいことを伝えなければならない場面が発生します。
あなたはその場面で、部下を叱ることができていますか??
今回は、そんな怒れないリーダー必見の「怒ると叱る」の違いについて解説します。
実はリーダーシップを発揮する為に、怒る必要は全くないのです。
今後の部下との関わり方に大きく影響する
「怒ると叱る」の違いから、正しい叱り方まで解説します。
組織運営の参考にしていただければ幸いです。
では、ご覧ください。
怒れない原因
組織を牽引する立場にいる人の多くが、部下の育成に悩んでいます。
その中で「部下を怒れない」という悩みを抱えるリーダーは多いです。
「怒る」と言う行為は、基本的に喜ばしい事ではありません。
また、怒る事自体、とてもエネルギーを使います。
怒れないリーダーにとってまず大事なことは、怒れない原因を自分自身で理解する事です。
「良い人に見られたい」
「怒っても本意が伝わらない」
「反感を買いたくない」
「パワハラになるかも」
「嫌われたくない」
(ちなみに著者は、「良い人に見られたい」と思っていたため
怒れないリーダーになっていました。。)
この様な心理が強く影響している場合がほとんどです。
そして、実は根底には「エゴ」が隠れています。
「(自分が)嫌われたくないから怒れない」
「(自分が)面倒くさいから怒れない」
「(自分が)反感を買いたくないから怒れない」
あなたが怒れない原因に
このような「エゴ」が隠れていませんか??
怒らず、叱る
ここで少し、自分が怒られた経験を思い出してみてください。
怒られた内容を納得できた時と、
なんで怒られているの?そんなことで怒る?と理解できないモヤモヤが残っている時があったのではないでしょうか。同じ指摘や注意でも、この違いは何でしょう。
この答えが、「怒る」と「叱る」の違いなのです。
「怒る」は、負の感情の爆発 「叱る」は、成長を促す為にロジカルに言葉をかける事
「怒る」は、目的がありません。ただ自分の感情をぶつけるだけです。
しかし「叱る」には相手の成長を促す目的があります。
相手の改善すべき点を指摘し、
今後に活かしてもらう為に叱るのです。
厳しい内容を伝える行為自体は同じですが、
「怒る=自分の為」「叱る=相手を含めたチームの為」と、その動機は大きく異なるのです。
叱る事をためらわない
一流のリーダーは「叱る事」をためらう事はありません。
なぜなら、リーダー自身の「ビジョン」が明確だからです。
一流のリーダーは
「嫌われたくない」という理由で「叱らない」という選択はしません。
一流のリーダーは
自分がリーダーとして何をすべきなのかという「ビジョン」の実現を優先します。
ビジョンの実現の為に「叱る」という選択が、
組織や企業にとって「ふさわしい事」だと理解しているのです。
また「叱る」ことは「私の責任だ」という事も理解しています。
リーダーには部下を指導・育成する責任があり、
場合によっては厳しいことを伝えなければなりません。
嫌われたらどうしよう、など、自分の個人的な理由で叱る事をためらうのは、
リーダーの責任を負っていない事と同じだと言えるのです。
叱り方の3つのポイント
では、具体的な叱り方について、3つのポイントを解説していきます。
①人前で叱らない
まず、叱る時のポイントは「人前で叱らない事」です。
たとえ相手のために叱っていても、
場所が人前だと「恥をかかされた」と感じて、成長に繋がりにくくなります。
別室に移動するなど1対1の環境で叱る様にしましょう。
②伝える事は1つに絞る
「こういうところ良くないから、改善しろよ」
「そういえば、ここも良くない!」
「ちょっと待て!ここもだ!」「そういえばこの前も!!」
こんな風に、指摘のオンパレードをしてしまっていませんか??
叱る事は、1つに絞りましょう。
複数の事をここぞとばかりに一気に叱ると論点がズレたり、
相手は何が重要か掴むことが難しくなり、成長に繋がりにくくなってしまいます。
毎回叱るのも手間だからとあれこれと指摘したい気持ちはわかりますが、
「この事だけを叱ろう」という内容を明確にすることが必要です。
③5つのステップで叱る
実際に叱る時は、5つのステップを踏んで叱る事を意識しましょう。
⑴主観を入れず指摘事項の事実のみを伝える
⑵自分(叱る側)の気持ちを伝える
⑶「どう思う?」と相手の考えを聞く
⑷改善するべき具体的な行動をフォローする
⑸今後の期待をプラスの感情で伝える
これだけでは、イメージしづらいと思いますので、
同じミスを繰り返す部下を例にイメージしてみてください。
叱り方の例
部下Aは、クライアント宛の資料作成で、毎回同じ箇所を間違えて入力しています。
今月に入って3度目の指摘です。1度はクライアントにも指摘をされてしまいました。
「怒るリーダー」であれば、ミスを発見するやその場で怒りをぶつけます。
「何度言ったら分かるんだ!お前のせいで資料が送れないんだぞ!やる気あんのか!」
罵声がオフィス中に飛びます。
「・・・・」
「申し訳ございません。」
「はい。。申し訳ございません。以後気をつけます。」
部下Aはただ謝るだけで、弁解もできません。
これだとモチベーションは下がり
「次は間違えないように頑張ろう」という気持ちは生まれにくいですよね。
反対に「もう嫌だ。」「そんな言い方はないのに。」と言う反発心が生まれ、信頼関係はボロボロです。最悪、パワハラと言われる可能性もあります。
では「叱るリーダー」であればどうなるでしょうか。
まず「主観を入れず指摘事項の事実のみを伝える」にはリーダー自身が冷静にならなければなりません。部下Aと別室に移動し1対1で事実のみを伝えます。
⑴主観を入れず指摘事項の事実のみを伝える
「今日、資料作成で以前と同じ箇所のミスをしたよね。今月で3度目のミスだよね。
1度はクライアントにも迷惑をかけたよね。」
主観を入れず指摘事項の事実のみを冷静に伝えます。
事実については、相手も冷静に受け止め納得せざるを得ません。
⑵叱るリーダー自身の「気持ち」を伝えます。
「私は、◯◯さんに期待していたから、とても残念な気持ちです。
また期待して発注して下さっているクライアントもとても残念な気持ちになっています。」
リーダー自身の気持ちを伝える事によって、部下Aは自分のした事を冷静に理解し、いろんな人の気持ちを不快にさせてしまったと、ロジカルに受け止める事ができます。
⑶「どう思う?」と相手の考えを聞く
リーダーの気持ちを伝えると、部下Aはそんな気持ちにさせてしまった事を反省します。
その場で謝罪の言葉が出れば、次に同じミスをしない為にはどうすればいいかを一緒に考えます。
⑷改善するべき具体的な行動をフォローする
もし、弁明があればここで説明するはずです。
コピー機・パソコンの不調などが理由ならば、
それを受けて「そんな時は、どうする事が必要だと思う?」と聞きます。
ここから、そのような場面の対策や、発生させない為の改善案を話し合うことができます。
この話し合いでは相手は反省している為、大きく落ち込んでいます。
そんな時は、フォローが必要です。
慰めの言葉やねぎらい、思いやりの言葉を伝えましょう。
もし自分自身に同じ様な失敗談や、共感している事を示すエピソードを話すと効果的です。
⑸今後の期待をプラスの感情で伝える
「部下Aさんには、将来この仕事をしてもらいたいと思っている」
「今後チームのリーダーになって欲しいと期待している」
と言う事で「見捨ててはいないぞ」という気持ちを伝えます。
そして最後に、
「今後は今日の反省を生かして、同じミスを繰り返さないよう努力してください」と伝えてみて下さい。
「事実」と「気持ち」を伝える事で、多くの方に迷惑をかけ、不快な気持ちにさせてしまったことを理解することができます。だからこそ、そこに反省という気持ちが生まれます。
自分のために叱ってくれているのが理解できると、相手に対しての信頼を生むことができます。5段階の叱り方を実践する事で「信頼関係」が築けるのです。
※(0)叱る前に一時停止
5つのステップをお伝えしましたが、
その前に心構えがあります。
どれだけ理性では『してはいけない怒り方だ』とわかっていても
「ゴゴゴゴゴ!!!!」と腹わたが煮え繰り返り、イライラした状態では
正しい叱り方はできません。
人は感情をコントロールすることはできないのです。
ただ、「イラッ」としたとしても、
そのあとに発する言葉や行動は、自分で選択(コントロール)できます。
行動をコントロールできるならば、
どういう行動を取るのが正しいか、自分自身を導くことができます。
行動を正しく選択するために、
高ぶる感情を抑える必要があります。
その際に
「一時停止。一時停止。」
と心の中でつぶやいてください。
怒りにまかせた状態では、正しい判断はできません。
必ず「一時停止。一時停止。」と落ち着かせてからそのあとの行動を選択してください。
感情はコントロールできませんが、行動はコントロールできます。
まとめ
日々を平穏に過ごす為には、怒る場面はなるべく少ない方がいいでしょう。
ただ、リーダーと言う立場においては、部下のミスや不祥事などが起きれば、厳しいことを伝えなければならない場面が発生します。そんな時は「怒ると叱る」の違いを思い出し、効果的な叱り方で、部下を大きく成長させていただければと思います。
今後の組織運営の参考にしていただければ幸いです。
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